悪玉コレステロールなんてあるはずない

食生活ジャーナリストの見解

 

 

表題は「悪玉コレステロールなんてあるはずない」です。いろいろな見解があると思いますが、日本ペンクラブ会員・食生活ジャーナリストの佐藤達夫氏は、女子栄養大学発行の「栄養と料理」の編集を経て独立したジャーナリストです。この佐藤氏の意見の概要を加えておきます。

 

現在、生活習慣病世代なら多くの人が知っている「悪玉コレステロール」と「善玉コレステロール」です。いつ頃からコレステロールを悪玉と善玉に分けるようになったのかは不明瞭ですが、人間ドック等での血液検査結果を分析した結果で、動脈効果等の生活習慣病にかかっている人の血液にLDLが多いということ、生活習慣病にかかっていない人の血液にHDLが多いということが発端になっているのかもしれません。

 

コレステロール等の脂質をたっぷり含んでいる状態のリポプロテインがLDL(Low Density Lipo-protein)、コレステロール等の脂質が少ない状態リポプロテインがHDL(High Density Lipo-protein)です。つまり、LDLやHDLは、リポプロテインの状態の違いを表す言葉です。

 

医師が患者を診断する際には便利で、健診の結果でLDLが異常に多ければ、将来、心筋梗塞や狭心症や脳卒中などの病気になる可能性が高いことが予測できるからです。

 

しかし、大事な栄養成分の塊であるLDLを「悪玉」と呼んでいいのでしょうか。診断基準にすぎない血液中LDLを「悪玉」と呼ぶのは誤解の元で、更にいけないのは、医師がそのまま患者にそれを伝えている点です。患者はリポプロテインの意味など知らなくても、単にLDLコレステロールは悪玉だから減らしなさいと指示されてしまうのです。このことが、コレステロールに対する誤解を助長します。

 

将来の致命的な病気の予防にもつながらない原因だとも考えています。メタボリックシンドロームの定義にも「LDLコレステロール」という言葉は登場しません。以上が概要です。各人がしっかり学習して、自身の健康づくりに役立ててもらいたいと思います。